ピカッと光る、その正体―― 飛蚊症とは違う「光視症」 ――
桜は満開を過ぎ、散り始めました。風に舞う花びらにも、どこか感慨深いものがあります。
ひそかにこのブログを綴っている謎のブロガーMです。
昨日は母校の入学式でした。ハリーポッターの先生のようにアカデミックガウンにモーターボードをかぶり、壇上に鎮座するのも今年はMの役目です。
そうして新入生を眺めていると、Mも40年以上前にこの場所にいたのかと思い、時間の流れをしみじみと感じました。
入学式のあとには医学科と看護学科の保護者懇談会で挨拶をし、今日はオリエンテーションで新入生にも話をする機会がありました。
母校を誇りに思い、仲間とのつながりを大切にしながら、大きく羽ばたいてほしい――そんな思いを伝えました。
さて、前置きが少し長くなりましたが、今日は「ピカッと光る」症状についてお話ししたいと思います。
年齢とともに体が少しずつ変化していくように、目の中でも静かな変化が起こっています。
そのサインのひとつが、次のような症状です。
暗いところで、突然ピカッと光る。
稲妻のような光が、視界の端を一瞬走る。
実際には光はないのに、確かに「光った」と感じる。
この症状を光視症と呼びます。
光視症は「光が見えている」のではありません
光視症という名前から、
「目に光が入っている」と思われがちですが、
そうではありません。
光視症は、目の中で光が作られている状態です。
正確に言うと、網膜が刺激されている状態です。
網膜は「引っ張られると光る」
網膜は、光を感じるための組織です。
でも実は、光以外の刺激にも反応します。
たとえば、
- 硝子体に引っ張られる
- 物理的に刺激される
こうしたとき、網膜はそれを光として脳に伝えます。
その結果、
- ピカッ
- バチッ
- 稲妻のような閃光
として感じられます。
これが光視症です。
飛蚊症との決定的な違い
飛蚊症は、硝子体の影を見ている状態でした。
一方、光視症は、網膜が直接刺激されている状態です。
つまり、
- 飛蚊症:見えているのは「影」
- 光視症:起きているのは「刺激」
という違いがあります。
なぜ飛蚊症と一緒に起こりやすいのか
加齢とともに起こる後部硝子体剥離の過程では、
- 硝子体が動く
- 網膜が引っ張られる
ということが起こります。
そのため、
- 硝子体の影が見える → 飛蚊症
- 網膜が刺激される → 光視症
が、同じ時期に現れることがあります。
外来で、
「黒いものが見えるし、光も走る」
と訴えられることが多いのは、このためです。
注意が必要な光視症
光視症のすべてが危険というわけではありません。
ただし、
- 光が何度も繰り返し出る
- 同じ方向に光が走る
- 飛蚊症が急に増えた
- 視野が欠けた感じがある
こうした場合には、
網膜裂孔や網膜剥離が起きていることがあります。
特に、飛蚊症と光視症が同時に変化したときは注意が必要です。
まとめ
光視症で問題になるのは、ほとんどの場合、網膜が引っ張られているかどうかです。
光視症は、光の錯覚ではありません。網膜が刺激されているサインです。
多くは、年齢とともに起こる変化の一部ですが、
ときに、網膜裂孔や網膜剥離が起きていることがあります。
